東海大学機友会

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小杉伸一さんからの連絡(2001年6月25日)

咸臨丸還る〜 蒸気方小杉雅之進の軌跡 〜

  私の曽祖父小杉雅之進が15歳の時、幕府伝習生第三期生として長崎の海軍

伝習所に留学しました。伝習所へ留学した小杉雅之進は、蒸気方へ進み、蒸気

理論やスクリュー式蒸気機関の操作方法等を学びました。一方、幕府が初めて

オランダに発注した軍艦は、フォップ・スミット社キンデルダイク造船所でヤ

パン号として建造されました。長崎で幕府側に引き渡されたヤパン号は、咸臨

丸と改名されました。安政4(1857)年の出来事でした。

  安政7(1860)年2月、日米修好通商条約に基づく遣米使節が乗船する米軍艦

の随伴船に咸臨丸が選ばれ、小杉雅之進が蒸気方として乗り組み、渡米しまし

た。渡航中に桜田門外の変がおこり、改元された万延元(1860)年5月に帰国し、

小杉雅之進は江戸の軍艦操練所教授につきました。

  慶応3(1867)年、オランダで建造され開陽丸が横浜に回航され、伝習生第二

期生の榎本武揚が留学先のオランダからこの船で帰国しました。榎本武揚が開

陽丸艦長となると同時に小杉雅之進も開陽丸の乗組員となり、翌年に機関長と

なりました。

  小杉雅之進にとっては榎本武揚艦長との出会いと鳥羽伏見の戦いで勃発した

戊辰戦争が人生の大きな転機となりました。五稜郭の戦いで幕府軍の全面降伏

により捕虜の身となった小杉雅之進は、幽閉先の弘前で慶応4(1868)年1月3

日勃発の鳥羽伏見の戦いから五稜郭の戦いで終結した明治2(1869)年5月17

日までの顛末をまとめた麥叢録(ばくそうろく)を書き上げました。

  明治5(1872)年に罪が許され、明治7(1874)年に新政府の要請で新政府に仕

官しました。運輸行政を担当し、船舶検査法・船舶職員法・海員懲戒法の法制

化に尽力し、公布直後の明治29(1896)年6月に退官ました。退官後は、日清

戦争後の海外発展の重要時期にあった大阪商船会社に監督部長として迎えられ、

明治31(1898)年末に辞職しました。

  晩年は神戸で余生を過ごし、明治42(1909)年8月、小杉雅之進は66年の

生涯を閉じました。

  平成4(1992)年に我が家の文箱に納められていた書物の中に曽祖父が残した

渡米時の復路航海日誌とハワイ上陸時の記録および麥叢録が発見されました。

また、函館戦争時のスケッチ、榎本武揚からの手紙、本人の履歴書と遺書など

も発見されました。

  これらの資料をもとに曽祖父小杉雅之進の生涯を橋本進さんが分かりやすい

表現でまとめられたのがこの「咸臨丸還る」です。昭和51(1976)年、米国建

国200年祭でニューヨークのハドソン川で世界の帆船パレードが催されたこ

とを覚えていらっしゃいますか?  このイベントには、横浜港に係留保存され

ている練習帆船日本丸がパレードに参加しました。この時の船長を務められた

のが著者の橋本進さんです。

  平成13(2001)年2月、ハワイ近海で米原潜との衝突で沈没した「えひめ丸」

の引き揚げの実現可能性調査請負先がオランダのサルベージ会社スミット社と

報道されました。スミット社のルーツを辿ると咸臨丸に結びつくのは何かのご

縁でしょうか。141年前の咸臨丸は米国からの復路航海でハワイに寄港して

います。

  この本は平成13(2001)年2月10日に中央公論新社から出版されました。

ご興味がありましたらご講読頂きたく、謹んでご案内申し上げます。なお、

ISBN番号は、ISBN4-12-003107-1 C0021です。

 

平成13(2001)年4月吉日

曾孫 小杉 伸一

 

 

 

 

 

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学科・専攻   NM,  MD,  MDM,  MDD

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